EVとガソリンMacanの使い方に決定的な差は無い
車検の際に借りた代車「マカン Electric」を1週間ほど乗っていましたので、旧型のガソリン車であるMacan3との試乗比較をしておきたいと思います。
マカンの試乗比較というよりは、ポルシェに興味の無い人も含め一般的な電気自動車にも当てはまる視点から新型のマカン・エレクトリックを検証していきます。
EVなんて充電設備が弱いしまだまだガソリンの時代だよと言う人も、中古価格がこなれてきたので旧型ガソリンモデルを狙っている人も、EVを買おうかと思っているのだけどもどうなの?という人も、車選びの参考になれば幸いです。
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EVの充電事情は上の記事で書いていますので参考にしていただくとしまして、結論は普段使いでは自宅に充電器があればガソリン車と同じように使えて何ら問題は無い、と言えます。
むしろ、最近のガソリンスタンド事情からすれば、近くにGSが無く片道15分往復30分をかけてわざわざガソリンを入れに行くのなら、家で充電できる方が圧倒的に便利とも言えます。
自分の事情で言えば、帰宅経路にGSが全く無く給油の際には+15分かけて大きく回り込んでから帰る、ということになっています。しかも反対車線であることからどこかでUターンして、給油後もさらにUターンしてと、余計な動作が入るのでした。
さらにはそのGSが混んでいて、待機列なんかができていた日にはガックシとひざが折れます。このガソリン給油環境の悪化が、もしかしたらEVへの買い替えを後押しするかもしれません。
毎日5~10kmの通勤に使用しているような場合、家族の送り迎えとか買い物などで近所しか乗らない場合など、週に1回とか1ヶ月に1回程度の給油頻度であれば、EVとガソリン車で使い方に違いはありません。
充電の頻度としましては、50%を切ったらその夜帰宅後にコネクタを繋いで朝まで充電しておきます。これは、自宅の充電は3.2kW/hなので20時~6時の10時間の充電で30kW/hが溜まる計算です。
このマカンEVの電池容量は100kW/hですので、50%から充電を始めれば80%まで回復することとなり、翌朝には心配なくEVで出かけることができます。充電池は100%の満充電まで行くよりも、80~90%にしておく方が長持ちします。
電気自動車は重くその弊害は無視できない
今回借りた新型マカン・エレクトリックでは、一番軽いこのモデルでも2,240kgと2tを大きく超えてきます。これは2駆で一番下のグレードの素マカンで、最上位のマカン・ターボになると2.5t近くにもなります。
これまでのガソリンマカンが1.8tで重くても2tに収まっていたことを考えれば、400~500kgほど増えていて重いということになります。これだと、いくらパワーがあってもどうなの?ということになります。
当然これは走り出した瞬間に出足で感じることができ、最初に動き出して思わず「おっも!」と車内の独り言で叫んでしまいました。ガソリンマカンに比べて明らかに、その重さを感じることができるのです。
その弊害は当然にあり、セールスマンから聞くところによると普通の車なら交換まで5年はもつはずのタイヤなのですが、タイカンのタイヤは3年ほどでダメになるようで初回の車検時に交換が必要になるそうです。これは年間の走行距離にもよりますが、普通に年間1万キロ程度を走ってという話です。
このマカン・エレクトリックでも2年~2年半で交換の必要があるとのことで、ただでさえ大きなタイヤを履くSUVでは、タイヤは消耗品のためメンテナンスプランの対象外ですのでシビれる出費となりそうです。
このあたり、新車で購入する人はあまり気にしなさそうですが、中古で購入して長く乗ろうと思っている場合には注意が必要です。実際、今回のガソリンMacan3の購入時にはタイヤ交換のコストは全く考慮しておらず、見栄え重視で21インチホイールを選んでいます。
これの交換時期も恐怖なのですが・・・タイヤ交換をせずに下取りに出したいと考えています。
このマカンElectricは、オプションで22インチの極太タイヤを履いていました。タイヤ交換の費用は、考えたくありません。
ポルシェのようなスポーツタイプの車で、性能が劣る格安タイヤの選択肢はありません。タイヤは唯一地面に接している部位で、止まる曲がる加速するで最も重要、命を預ける部分ですので雨の日などを考えますとケチらない方が総合的に見て良いです。
EVのモーターパワーの加速は気持ちいい
初速の出足では「重い」と感じたマカンElectricですが、物理の法則では物を動かすのに最初だけ大きなパワーが必要で、その後パワーは少なくても加速させることができます。自転車の最初のひと漕ぎに、強い力が要るのと一緒ですね。
このため、出足から100%のトルクが出る電気モーターでは、最初こそ重く感じるもののその後の加速感は素晴らしいの一言に尽きます。加速が始まれば、アクセルの開ける量に応じて狙ったとおりの加速をします。
首都高速では遅い車を追い越すのに、ガソリン車では諦めてしまうようなスペースであっても、躊躇なくレーンチェンジをしてすぐさま追い抜くことができることから、逆に無理な加速をせずに加速がもたつくガソリン車よりも安全であるとも言えます。
また首都高速で言えば、電気自動車特有の重心が低いことから、あの首都高の90度に曲がる急カーブを減速せずに安定してトレースをすることができるのも驚くところです。逆にアクセルを開け気味にしてわずかに加速へ持っていきますと、オーバーステアとなり鼻先が内側へと綺麗に曲がり込んでいきます。
ここはこの2駆のマカンErectricと4駆の4や4S以上のグレードとは挙動も違うとは思いますが、グレードが一番下ながらこれはこれでリア駆動ならではの楽しさがあります。エンジンは前には無いので、「FR」とは呼べないのです。
これだけ首都高のカーブが面白いと感じたのは、久々です。メルセデス・ベンツのGLCも代車で借りたことがありますが、正直まったく面白くなかったので購入には至りませんでした。
先日も運転した「GLA AMG45」も雨の中で暴力的な加速をしましたが、加速感からしたらマカンErectricの方がジェントルで速い、と言えます。
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EVマカンはSUVとは思えない低い重心、着座姿勢
このマカン・エレクトリックは、ガソリンマカンを引き継ぎSUVなのですが、その中身は全くスポーツカーと言って過言ではありません。
ガソリン旧型マカンでは重心が高いことから、カーブや小さな凹凸や段差を超える際に乗員の頭は大きく振られるのですが、SUVって目線が高いのでそんなもんだと思っていました。ですが、このマカン・エレクトリックに乗ったら、段差やカーブでも乗員の上半身はほとんど振られません。
それだけ重心が低く、車体が左右に大きく揺すられないということなのでしょう。
また着座位置も、普通にガソリンマカンのつもりで起こし気味にシートバックの姿勢を合わせたところ、メーターの真上にハンドルの上部がかかって見えないのです。電動テレスコをいっぱいに上へ上げてもメーターがすべて見えない、邪魔。
これはちょっと我慢して乗る、というレベルでもなかったことから、逆にメーターを見える位置へとシートバックを倒していきますと、かなり寝かせたところまで倒してようやくピッタリとメーターが見えるのでした。
ガソリンのマカン3を買うまで、これまでずっと2ドアスポーツカーを乗り継いできましたが、この着座姿勢は911や718とまでは言わないですが、完全に寝かせ気味のスポーツカーの着座姿勢です。
シートバックが寝かせ気味となりますので今度はステアリングが遠くなってしまうことから、シートを前に出して腕の長さを調節します。これでしっくりとくる着座姿勢となりました。
首都高のカーブや追い越しなどの走りも含めて、マカン・エレクトリックはSUVの皮をかぶったスポーツカーだと感じました。SUVがここまで走りに振って作り込めるのなら、確かに2ドアスポーツカーは売れなくなるよな、と。
実際のところマカンErectricは、リアゲートの傾斜がスタイル優先でキツく荷物も思ったほどは入らないので、家族4人で道具を満載してのキャンプとかは苦しいかとは思います。が、これは2ドアクーペでも同じです。
内装インパネは旧マカン3を踏襲
内装はこれまでのガソリン旧モデルのマカン3を踏襲しており、ステアリング周りのスイッチ類も完全に一緒です。全体的にポルシェ共通のコンソールデザインなので、スイッチ類は初見でも迷うことはありません。
ただ、エアコン操作だけはコンソールに従来と似た物理スイッチが残っていますが、その他のコントロールは全てディスプレイ内に集約されました。
ポルシェってオプションだらけで、全てオーダーの時に自分で機能を選んで取り付けるのですが、正直なところこのオプションがあるか無いかはセンターコンソールのスイッチ類を見れば一目瞭然だったのですが、このマカンErectricの新型モデルではこのオプションが一目見ただけでは判らなくなりました。
全てモニター内で設定のON/OFF操作をする方法になったからです。これまでのガソリンマカンでは、スポーツサウンドのON/OFFもセンターコンソールのスイッチでした。
この車は借り物でしたので、1週間ではどこに何の設定があるのかもわからず、時間も無くゆっくりと探求もできませんでしたので、何のオプションが付いていたのかすらも判りません。
なんかトランクを見たらBOSEのアンプがあったのでオプションのBOSEサウンドシステムは付いていたみたいなのですけども、これもスマホを登録しなければ音楽は聴けなかったことからその真価を確かめることはできませんでした。
センターコンソールは、ガソリンMacan3からスイッチ類が消えたことでマカンErectricの方がすっきりとした感じになっています。スイッチがたくさんあるのが好きな身としては、少し寂しい気もしますが。
相変わらず、センターコンソールのドリンクホルダーは使いにくい、輸入車ってみんな小物の置き場が無く使いにくく、この点においては日本車の方が至れり尽くせりで圧倒的に使い易いです。
小物の収納がありませんので携帯電話も置けず、スマートキーを一つ置くのにも置き場所に困り、ずっと充電カードと一緒にドリンクホルダーの中に入れていました。
マカンElectricの居住性は電動化の恩恵で向上
電動化により場所を取るDCTミッション(変速機)が無くなりましたので、ガソリンマカンでは大きく張り出していた前席の足下は広くなっています。
センターコンソール下はガラッと空いて空間があり、ここに何か物が置けるようにスペースがあるのですが、ここ手を入れにくいから何も置きませんよ。小さなバッグとか、手荷物を置く用なのでしょうか。
ここは、完全にデザイン倒れになっています。日本車ならば、もっと上手く見栄えも良く使い易いデザインにしてきたでしょうね。もったいない空間です、そういえばMベンツEQCもここの空間の使い方はただ空いているだけでド下手でした。
また、ポルシェ全般に言えるのですが、右ハンドルでは微妙にオフセットして違和感があったブレーキとアクセルペダルは、このEVマカンではちゃんと正面に来たことは朗報です。
後席は、こちらも電動化によりセンタートンネルなどが無く、床面が低いことから足下スペースは広くなっています。前席で170cmの大人がポジションを取っても、後席の膝元には十分なスペースがあります。
これ、ガソリン旧マカンですと足下スペースはキツく、大人が長時間座っているのはツラいな、良くて小柄な女性か子供なら中学生くらいまでかなという感じです。これまでも、後部座席はちょっと駅までの送迎くらいにしか使ってはいません。
それでも、2ドアクーペに比べれば全然マシなのでありました。けっこう皆さん、後席に乗りますといい大人がはしゃいで喜んでくれています。
格好いいスタイルの4ドアクーペ、バンザイ!
トランク
ポルシェ・マカンは、初代の旧型は「クーペSUV」というジャンルを確立したモデルで、スポーツ・ユーティリティ・ヴィークルなのにトランクの二室スペースを犠牲にして、スタイルを優先させています。
このせいで、先代ガソリンマカンも後部ハッチのガラスは寝ており、背の高い人だと下がってくるルーフに頭がつきそうになり、圧迫感を感じます。この新型マカンElectricもそのコンセプトは踏襲しており、よりによってバックドアの傾斜をさらにキツくしてスタイルを良くしています。
ただ、足下スペースに余裕があるせいか、全体的にエンジンが無くなった分の居室が前へ行っているようで、後部座席の後頭部の圧迫感は多少増しになっています。このため、後部座席に大柄な男性が長距離で乗っても、問題は無くなっています。
その美しいバックシャンのスタイルと引き換えに相変わらずトランクスペースは狭く、背の高い物は乗りません。今のガソリンマカンでも、スーパーで大量に買い込むとゲートが引っかかることがあります。
このマカンEVでも、電子レンジを裸でトランクの手前に積んだところ、電動ゲートが引っかかり閉まりませんでした。最初、何が引っかかったのかが判らなかったのですが、電子レンジを奥へズラしたら無事閉まりましたので、わずかに内装がレンジの角に引っかかったのだと思います。
ポルシェ911ではお馴染みの、フロントにあるトランクスペースです。ここにはエンジンは無いので、これまでの常識からしますと違和感がありますね、小さなバッグくらいは置けますがここを使う機会は少ないかなぁ・・・
家族4人で道具一式を積んでキャンプへ行く、というシチュエーションではちょっと荷室はつらいかなぁ、という印象です。セダンの乗用車並みのトランク容量、と考えた方が良いかもしれません。
電子レンジやプリンターあたりの家電を購入して持ち帰る、というような段ボールごと入れるとゲートが引っかかり閉まらないかもしれません。IKEAなんかで大型のぬいぐるみや家具なども厳しいでしょうね。
昔の手動ゲートなら、多少段ボールの角が潰れても押し込むのですが、今どきの電動ゲートは繊細なのでピーピー鳴って閉まってくれません。
新型マカンEVはガソリン派を満足させられるか
ネモフィラを一緒に見に行き助手席に乗っていた友人が、帰りに「新型EVマカンどうだった?」と聞いたところ「内装の見た目もあまり変わらなくていつものガソリンマカンとそんなに変わらなかった」との答えでした。
この回答からしても、ポルシェとしては電動化のメリットを最大限に取り込みながら、できる限りガソリン車のテイストに違和感なく近づけようとセッティングしていることが判ります。
結論としては、新型「マカンElectric」は走り・静粛性・快適性の全てにおいて、日常の移動から高速巡航までガソリン車のテイストを残しながら旧型マカンを大きく上回る完成度、“質の高さ”を持っています。
低〜中速のトルクは圧倒的で電気モーターの圧勝、街中では常に「スポーツモード」のような反応をし、初動こそ重いものの動き出してしまえば重さを感じさせないシャシー制御、走りの快感という意味ではEVマカンはガソリン派を十分に満足させるレベルにあります。
あの「エンジンの鼓動や立ち上がりががいい」という人は、乗っていないから食わず嫌いということになります。確かに、エンジンの鼓動や回転、高揚感といったガソリン車が持つ官能性から、旧車が良いという価値観もあります。
EVの充電の不安というのも判るのですが、先日の検証のように航続距離600kmのカタログ値のマカンElectricでは、400km程度の往復距離ならば無充電で帰ってこられますし、名古屋や大阪といった片道400kmを超える場合でも150kW/hの高速充電設備を上手く使えば問題はありません。
マンションやアパート住まいに関しても、ポルシェセンターやアウディ/VWディーラーの高速充電が近所にあれば解決します。トヨタ・日産・三菱系の充電網は、出力が小さいためにちょっと厳しいですけども。
ポルシェは、人が乗れて荷物が積めて理想的な走りをする「スポーツカー」を求めて、VWビートルから356へとそして今なお911でその理想を追い求めています。が、エンジンではその限界が見えており、、様々な電子制御で911のアイコンを守り続けています。
ポルシェが追い求めているのは、フェラーリなどには無い人や荷物が十分に積めて911のような走りで移動ができること、その設計の理想形が低重心のタイカンだと言われています。
新型マカンElectricを実際に走らせてみると、ポルシェが「EVやSUVでもスポーツカーであるべき」という哲学を本気で形にしてきたことがわかります。ガソリンマカンから乗り換えても、EVは全ての点においてアップグレードされることは間違いありません。
EVは、今では十分にガソリン派を満足させることができる、EVを敬遠するのは「価値観の違い」と言えるかと思います。












